私の好きな言葉がある。それは
「あるべき物が、あるべき場所にあり、為すべき事を成す」
である。
　誰の言葉でもなく、私の造語なのだが。

　40年を越える整体治療家として人に身体に接しているうちに
「ゆがみとは不調とは、骨格があるべき場所あり、為すべき仕事をしていない状態」という風に思ったから。

　私の今は、教室で直接指導する時間よりも、
　その準備をする事務的な仕事の方が多い。
　その事務仕事に際しても、デスクの周りは
「あるべき物があるべき場所」にないと気分が悪い。

　だから、もし誰かが「弟子になりたい」とやってきたとしたら、その人の部屋を見て決めるな。
　整理整頓ができてないと気持ちが悪いくらいでないと、
　人の身体を整理整頓することはできない。

　部屋を見ることはできないが、
　その人の動きを見ていると部屋の様子がわかる。
　小走りに動いたり、背を丸めて忙しそうにしている人
　は部屋も乱雑、骨格も乱雑で　あちこち痛い。

　身体の求める動きのスピードというのがある。
　それは本人がやっている動きより遅く、
　伝統芸能の能の動きが身体の要求するスピードに近い。

　それは何故かというと、着物を着ていたからで、
　早く動くと着崩れしてしまうから。
　できることなら、自力整体教室には着物で来て欲しい。
　すると早い動きができないから、
　整体になった骨格が早い動きで崩れることはない。

自力整体者は「優雅な動き」を目指してほしいな。
「優」とは身体に対してやさしい動き。
「雅」とは他者から見て、惚れ惚れする美しさ。

　見た目の美より、動作の美が好きだな。
　しぐさ美人、動作美人になってみてはどうかな？

by 矢上 裕