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DATE : 2023.07.07

心因性の痛みについて

  私たちは腰痛その他の運動器の痛み、それも整形外科で原因が究明できていない痛みの相談を受けることが多く、私は3つに分類して指導しています。

 それは歪みによる慢性緊張が原因のもの、飲食の不摂生・排泄の不完全によるS状結腸滞留便が原因となるもの。最後がストレス、またはうつの傾向がある痛みです。

痛みや不調の原因は、必ず、「心、食生活、姿勢、動作」にその原因を求めるのが自力整体の解決法なのです。

その中の心因性の痛みに関して述べてみたいと思います。

  下降性疼痛抑制という言葉があります。どういう事かといいますと、私たちの身体は多少の痛みは誰でもが持っていますが、「脳にその痛みを伝えない、感じさせないホルモンが分泌されており、それによって脳を守っている」システムがあります。

このホルモンの事をオピオイドといいますが、セロトニンというホルモンが多く分泌されている人、またはされている時は人は痛みに関して脳がそれを感知しないと言われています。

このセロトニンの分泌不全でなる病気の典型がうつ病です。

私はこの原稿をパソコンで書いていますが、以前は使いすぎた時によく「強制終了」でフリーズしたものですが、うつ病も「これ以上頑張ったら命にかかわると、身体が強制終了」を行て散るように思います。

特に腰痛は、仕事を変わったとか、長期の休暇を取ると治る場合が多いのは、ストレスによりセロトニンの分泌がなくなり、それが休息によってセロトニンの分泌改善が行われたからだと報告されています。

 セロトニンの分泌不全の代表であるうつ病の方を、鍼灸師時代に長期にわたって往診したことがありました。そして身体を触れたり、お話をしているうちにセロトニンの分泌不全になるとこのような症状が出ることがわかりました。

1,大腸が働かずに便秘になる。

2,まるで暴力から身を護るように身体全体が硬くなり、脱力できない。

3,夜眠れない。

4,朝起きられない。

5,同じ事ばかり考え、気分を変えることができない。

6,腰痛を訴える。

良く整形外科で腰痛の治療に行った人が、原因が不明なので心療内科の受診を勧められることがありますが、このケースがあるからだと思います。

そこで、私がお勧めするのはパソコンの電源を切ることです。強制終了がかかっているにも関わらず以前の職場に復帰するのは無理だと思います。電源を切るとは休息であり、新たに環境を変える事、環境を変えられない場合は以前とは別の人間となってしまうことです。

 普通の腰痛ならば、楽な時と痛むときがありますが、絶え間なく襲ってくる腰痛などはセロトニンの分泌不全腰痛だと思います。

 セロトニンが分泌されるときというのは、こんな心境の時です。

1,好きなことに打ち込んでいる時

2,太陽の元で心地よい汗を流している時

3,リズミカルに身体を動かしている時

4,ガムを噛んだりして唾液を出している時

5,自分が動いていなくても、スポーツに熱を入れて観戦している時などです。

太陽の光とリズミカルな活動で分泌されるので、そのような環境に自分を運んでいくことしかありません。自力整体はどうかというと、自力整体の動きはスローなのでリズミカルではありませんし、身体は緊張して硬いので痛がると思いますし、そもそも教室に出向いていく気力がありません。

ですから、心因性セロトニン症候群の腰痛やその他の痛みは、こういうケースもあるということを知っておいてください。

私がこんな時にセロトニンが出ますよと教室で教えているのは、セロトニン言葉「あいうえお」です。例えばこんな風に声に出すのです。

あ・・・「有難い」という感謝の気持ち 「多少痛くても、、命があるだけで有難い」

い・・・「いい気持ち」朝起きて背伸びをして、散歩中に太陽に向かって、お風呂に浸かって、寝る前に一言 声に出しましょう。

う・・・「嬉しいな」 という自分の気持ちを言葉にすること。家族に「これをして欲しいと言うのではなく、これをしてくれたら嬉しい」と 言いましょう。

え・・・「笑顔」 人は嬉しいから笑顔になるのではなく、笑顔を作ることで嬉しくなる

お・・・「面白い」 楽しい面白いことに熱中していると痛さも忘れる。食事の時は必ず「おいしい」といいましょう。 そして「お陰様で」も大事な言葉

特に年齢と共にセロトニンの分泌は少なくなります。

朝起きてあちこちが痛いのもセロトニン不足、便が出ないのも、夜眠りにくいのもセロトニン不足、老化とはセロトニン不足であるという自覚だと受け入れる方が、ストレスがなく、逆にセロトニンを出すことにつながります。

 痛みの原因を探して病院巡りを続けるというストレス生活より、「痛いのはセロトニン不足だ」と達観する方が幸せなのかもしれません。

そして、動かずに時間を持て余して痛い痛いというより、面白いこと、楽しいことを探しそれに熱中する方がセロトニンの為にも良いことだと、私は思います。

「不平不満、愚痴、自己憐憫(自分ほど不幸な人はいない、何故自分だけがという気持ち)」はセロトニンの分泌を止める、三大行為です。

 それと、神様が老人にくれたプログラムがあります。

プレゼントと言ってもいいかもしれません。

それは身体が硬くなることです。

何故硬くなることがプレゼントなのか?  それは2つあります。

硬くなることで、若者のように素早く動くことができなくなります。すると転倒して怪我をする可能性も少なくなる。転倒防止対策です。

2つ目は、老人になると関節がもろくなります。若いころのように無理やり関節を曲げると関節を破壊しかねません。これを過伸展防止といいます。硬くして、関節の曲がり過ぎを防いでいるのです。

by 矢上 裕

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