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DATE : 2021.10.08

自力整体は 生もの

 ナビゲーター養成をしていていつも感じることは、自力整体を頭で覚えよう、理解しようとして、右往左往していることだ。 実際に指導させてみると「気持ちよく自力整体をやっている姿」ではない。

 暗記したことを正確にやろうとしているだけである。

 これは単に、「慣れていないから」ではなく、 物事を理解する時に脳を使い慣れているからだ。

 私が伝えている自力整体は、私自身の心、身体の「こんな動きで楽になりたい」という欲求を、動きという形にしているだけである。

 だからそれを素直に、受ける人は心、身体で受け取ればよいものを脳で受け取っている。

 例えるならば、「これはうまいぞ、食べてごらん」 と差し出した物を、すぐに食べるのではなく、頭で「どんな栄養があるのか、本当の美味しいのか」 考え抜いている姿に似ている。

  その証拠に自力整体の動きの細かいところまで、「これで正解かどうか」問うてくる。

 「私は大体の動きを伝えている。 半分動きがわかれば、後は自分で探してベストな位置と刺激を見つけるように」と言っているのだが、細かく聞かないとわからない。

 子供のように、「適当に自転車で遊んでいたら乗れるようになった」という学びができない。

 それと、私が伝えている自力整体は「生もの」である。 生きているし、毎日変化している。

 今の私の心、身体から要求されている動きをやり、「よかったら真似して動いてみませんか?」というスタイルで伝えているそのことが、生ものなのであり、明日に同じ動きをそのまま真似るということはない。

 一週間も経てば生ものではなく、干からびて干物になっているのだ。

 それは研修講義でも同じで、「今、自分の心、身体から湧き起こった伝えたいこと」を伝えているので、一度講義したことを使いまわしはできない。 干物になってしまうから。

  自力整体は味わうものである。 今取れたての生きている食材を食べさせたい。

  おいしさを共有したいのである。 

  イカがスルメになる前に、 透き通った歯ごたえのある、ヌルヌルした刺身を食べさせたいのだ。

by 矢上予防医学研究所

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