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DATE : 2021.12.30
人生案内の素晴らしい回答
今日の読売新聞の悩みの相談コーナーである「人生案内」の回答が素晴らしいので、皆さんにシェアしたいと思う。 特にナビゲーターは生徒からの悩みを受け止めて、回答を与える仕事なので、参考にしてほしい。
「失恋・・・励ましの言葉を下さい」 相談者・・・20代の女性会社員。
数か月前に失恋しました。
別れる頃は、ご飯も喉に通りませんでしたが、最近は元通りの生活ができるようになってきています。
多くの人が話を聞いて慰めてくれたり、励ましてくれたりしたことに感謝の気持ちで一杯です。
でも、相手の心ない態度や冷たい言葉が今も悲しく、少しだけ怒りも残っています。
こんな風に深く傷ついた、傷つけられた経験は初めてです。
どんなに才能があって評価されている人でも、他人を傷つけてはいけないと思います。
私は最近、新しいことを始めました。
少しずつ上達していく達成感があります。
自分で自分を幸せにできるように、少しでも生きやすくなるように、自分を客観視できるようになりたい。
まだまだ軸がぶれることもある私に、何か励ましの言葉をいただけたら幸いです。(京都・H子)
回答者・・・いしいしんじ(作家)
本当に「失った」のだろうか
あなたは大切なものを「得た」のではないか。
なにを。
未来に向かっていく「意志」を。
前に踏み出していた「今のあなた自身」を。
深く傷ついた、傷つけられた、とあなたは書く。
実感のこもった言葉だと思う。
ただ、今のあなただから、敢えて言いたい。
それはひょっとして相手も同じだったかもしれない。
大切な相手との別れは、出会いと同様、本人同士の意思を超えた、不思議な流れによって運ばれる。
心ない態度、つれない言葉を浴びせた、相手の心はやはり軋んでいる。
あなたの胸は破れ、それに呼応して相手の声が張り裂け、その声が今度は、あなたの心を深く張り裂く。
別れも恋の一部。
あなたは真正面から受け止めた。
怒ってよい。 悲しんでよい。
周りがあなたを支えてくれたのは、それだけあなたが真摯だったからだ。
おだやかな文面、ていねいな言葉選びに、慈しみがにじんでいる。
あなたは、あなたを幸せにする道を、一歩ずつ歩いている。
ぶれているようでまっすぐな一本道は、あなたのまわりへ笑みを届ける旅程でもある。
新しい年、新しいあなた。新しい出会い。
あなたを幸せにしてくれるあなたを信じ、顔を上げ前に進もう。
矢上 裕 談
回答者のいしいしんじ氏の励ましの言葉に感動した。
おそらく、質問の手紙を何度も何度も読んだことだろう。 最大の理解をしようと。
理解して、深く共感し、「その感情はそのままで良い」と肯定する。
これだけで、相談者は救われる。
その後に、相手の感受性、相手の行動を褒め、具体的な解決策を提示し、「あなたならやれる」という自己信頼、 そして背中を押す。
本当に見事である。 言葉を職業とする作家だなと思う。
この、相談に対する回答の模範を私たちも見習おう。
理解⇒共感⇒肯定⇒具体的解決策⇒自分への信頼を持たせる⇒背中を押す。
本日は、とても大切なことを学ばせていただきました。
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