矢上先生へ

いつもお世話になりありがとうございます。

経絡治療の効果について、報告させていただきます。

まず、一つ目は、生徒のメンタルへの効果です。

いつも何かに、誰かに振り回されて落ち着きがなく、身体にもそれが出ていて本人も何とかしたいと私の教室に来られるようになりました。まるで、以前の私のようです。

経絡と呼吸の自力整体をするようになって、呼吸が穏やかになり、自分の内面が変化している事に気が付き、やっと自分を生きられるようになりそうで喜んでおられます。

職場の人間関係に悩みが尽きない人ですが、それも気にならなくなり少しずつ自分の軸が出来て身体にもあらわれています。

　矢上　裕です。それは、よかったです。　

良い機会ですので、自力整体とメンタルついてお話ししましょう。

　私たち人間は思考する動物ですから、動物と違って身体中心で生きることが難しいです。

　自分が身体から離れてしまいやすいので、未来への不安や、過去への後悔へ意識が飛んでしまい、色々な事故やケガをしやすいし、あれこれ悩みが尽きないのです。

　そこで、私は「どんな時でも、私は肉体の部屋に居る、肉体から離れてウロウロしない」ということを提唱したいと思います。

そして「すべての行動は肉体のペースに合わせる。意識のペースに合わせると早すぎる傾向があり、失敗しやすい」　ということも実行してみてください。　

そうすれば、常に頭は穏やかで、一つのことに集中でき、物事や人を広い視野でやさしく観察することができるようになります。　

そして身体の方は、余計な緊張が抜けてゆったりと脱力し、呼吸が楽で疲れず、その上しぐさや見た目が美しくなります。　「早口」や「せっかち」　なしぐさほど不細工なものはないですからね。

一度こんな風景を見たことがありました。

犬の散歩をさせている人が自転車に乗り、リードを引っ張りながら思い切り犬を走らせているのです。

おそらくその主人は、「犬の散歩は運動不足の解消の為だ」と思い違いをしているのでしょう。

違うのです。犬の散歩はその道路についている色々な犬のおしっこなどの匂いを嗅ぐことで、犬なりのコミュニケーションを取っているのです。　

ゆっくり歩きたい、他の犬のマーキングを探索したいのです。

自転車に乗った主人に引きずり回される姿を見て、私は「目的に追われ、忙しくしている現代人の姿に似ている」　と思ったものです。　目的に肉体が引きずり回されるかわいそうな姿です。

この姿は自分で肉体をＤＶ（ドメスティックバイオレンス）しているのと一緒です。

特に私が　「３大肉体ＤＶ」　と呼んでいるのは

「眠りたいだけ眠らせない、目覚まし時計で無理やり起こすＤＶ」

「苦しくなるまで食べるＤＶ、寝る前の食事ＤＶ」　（大食いテレビは見ていられません）

「万歩計の為に頑張る　歩きすぎのＤＶ」　です。

　そんな肉体DVを知らずにやりながら、病院に不調を訴える人は私にはアホに見えます。

自転車で犬を引きずり回している主人が、「最近犬の調子が悪いので」と犬を病院に連れていくようなものではないのかな。

　あなたの報告された生徒さんのメンタル面が変わってきたのは、自力整体の呼吸法はあちこちに飛び回っていた意識を、肉体の呼吸に集中させ、本来の自分の部屋に戻す作業だから、「今、ここ、自分」　に意識を戻す作業をしていることが大きいと思います。

　皆さんには、この「知らずにやっている、肉体DV」に気づいてほしいと思います。

　 　

by 矢上 裕