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DATE : 2023.03.15

好転反応について

 ある治療を受けると、治癒するまでの段階として一時的に症状が悪化しているように見える反応のことを誰が名付けたかしらないが、好転反応を呼ぶらしい。

鍼灸では「めんけん反応」という。

私から言わせれば「好転反応」というのは、治療の間違いによる悪化であって、決して好転することはないと断言できる。 つまり治療師側が自分の失敗を「好転反応」という呼び方で逃げている。

それは自力整体指導でもいえることだ。

生徒が「自力整体をやって好転反応で苦しんでいる」 というのはありえない。

 おそらく、先生の誘導が早くて、強すぎて、または刺激時間が長すぎて刺激過剰になっているか、

その生徒がおなか一杯食べた状態で行ったため、吐きそうになったかのどちらかである。

 鍼灸での「めんけん反応」は刺激が強すぎた時、例えば刺激に敏感な女性に、身体に軟十本も針を打ったため、帰りにだるくて眠たくて仕方がない場合があるが、それは「めんけん反応」ではなく、刺激過剰であり、治療師の失敗なのである。

 刺激というのは微妙なもので、ストレス刺激はその人に適度に与えられると、本人の身体が良い方向へそれこそ好転していくが、刺激量がきついと、身体が「やめてほしい」と過剰に反応して、だるさ、ふらつき、発熱、凝りのぶり返しが起きる。 明らかに治療師、指導者の失敗であり、好転反応ではない。

 鍼灸師をやっていたからわかるが、その人に必要な量の刺激を、必要な時に、必要な間をあけて

与えるというのは名人の技である。 これを「機、度、間」という。

ちょうど良いタイミングで(機)、その人が必要とする強さと分量を(度)、必要な間隔を空けて(間) 与え続けることができる人が鍼灸の名人と呼ばれ、若いころの私はそれこそ必死で到達しようとしていた。いや今も研修や教室では、この「機、度、間」を意識しない日はない。

鍼灸の師匠から言われたのは、機・度・間の間違いで患者さんに起きた悪い反応を「好転反応」という言葉で逃げてはいけない。それをやると治療家として逃げになり、反省しない。反省しないと改善しないし、向上しない。 師匠の最も忌み嫌う言葉であった。

 人の向上は 「この失敗は自分のどこが悪かったのか」という反省から生まれる。 反省点が見つかったなら改善点が見つかる。 人が成長する、向上する過程のスタートには反省がある。と学んだ。

 決して好転反応という言葉を使わないことである。

 

by 矢上 裕

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