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DATE : 2020.08.07
本のある風景
子供の頃からあこがれているある風景がある。
それは木立に囲まれた家に住み、書斎で本に囲まれている風景だ。耳を澄ませると隣の家からピアノの練習曲が流れてくる。木々の葉がそよぎ、楡の木陰から木漏れ日がさしている。
小学生時代からそんなインテリジェンスにあふれる上流家庭にあこがれていた。家は豆腐屋で家の中に豚を飼っていたくらい汚い家だったから。
家の門に牛乳を受ける箱なんかある家の前を通ると、「どんな金持ちが住んでいるのだろう」と友達と噂をするくらいだった。
奄美大島の小さな島の一つに住んでいた子供にとっては、都会はあこがれで まさしく雲の上の上流家庭である。
本の匂いがする書斎で、どこかから聞こえてくるピアノの曲を聞き流しながら文学作品を読むという夢は達成できたし、自分が本を書くこともできた。 ただ違うのは木漏れ日の一軒家ではなく、マンションだということくらい。
整体の技術も学校や師匠から学ぶこともなく、本で学んだし、どう生きるかということも本で学んだ。私の道を照らしてくれたのが本という灯だ。
私たちの数百年前の先輩も本から学び、その学びを今度は自分が本に書き、その本を後輩が学んで本にするという、学びのバトンタッチを延々と繰り返してきた。そのバトンタッチの一人に私も成れたというのは幸せである。
まさしく本に憧れ、本に寄り添い、本に生かされてきた人生。テレビやスマホの情報だけの人生ではなく、深い思索と共に生きて来られたのは、本という師が導いてくれたと感謝している。
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